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健全AI教育協会
HAIIA NOTES

Haiia Notes

諦めた夢に、もう一度火をつけるための記録。ニュース・記事・レポートで、AIと自己実現の現場を届けます。

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子育てで諦めた絵本作家の夢を、AIと2ヶ月で形にした話

40代主婦が15年前に諦めた絵本作家の夢。対話型AIと画像生成ツールを使い、深夜の2時間だけで1冊目を完成させるまでの記録。「できた」の瞬間がすべてを変えた。

HAIIA

深夜2時17分、沢井は16ページ目のイラストが生成される様子を、息を詰めて見つめていた。画面に現れたのは、小さな女の子が月明かりの下で本を閉じる場面。彼女が2ヶ月かけて描いてきた絵本の、最後のページだった。

「できた」

声に出した瞬間、15年間押し込めてきた何かが一気にほどけた。40代、二児の母、パートタイムで働く沢井にとって、これは単なる16ページのPDFではなかった。それは、諦めたはずの夢が、もう一度動き出した証拠だった。

美大を出たのに、絵本を描けなかった15年

沢井が最後に絵を描いたのは、2011年の春だった。美術大学でイラストレーションを専攻し、卒業制作では絵本を提出した。いくつかの出版社に持ち込んだが、どこからも返事はなかった。「才能がないのかもしれない」。そう思い始めた頃、今の夫と出会い、結婚。長男を妊娠した。

出産後は育児に追われ、次男が生まれてからは絵を描く時間どころか、自分のことを考える余裕すらなくなった。スケッチブックは押入れの奥に仕舞われ、色鉛筆は誰にも触られることなく時間だけが過ぎた。「いつかまた描きたい」という気持ちは残っていたが、それを口にすることさえ恥ずかしかった。15年という時間は、夢を諦めるには十分すぎる長さだった。

転機は2026年3月、SNSで見かけた1枚の投稿だった。「生成AIで絵本を作りました」というキャプションとともに、鮮やかな水彩タッチのイラストが並んでいた。投稿主は子育て中の30代で、プロの絵描きではないと書いてあった。

沢井の心臓が大きく跳ねた。「私にもできるかもしれない」。その日の夜、子どもたちが寝静まってから、彼女は15年ぶりにパソコンの前で「絵本」という言葉を検索した。

対話型AIと画像生成ツールで、ゼロから形にする

最初の1週間は、ひたすら情報を集めた。対話型AIを使ってストーリーのアイデアを広げる方法、画像生成ツールで一貫したキャラクターを作るコツ、絵本のレイアウトに使えるデザインソフト。検索しているうちに、AIは「絵が描けない人のためのツール」ではなく、「アイデアを持っている人が形にするための協力者」だと気づいた

沢井が最初に取り組んだのは、ストーリー作りだった。対話型AIのノート機能に、思いついたテーマやキーワードを書き溜め、それをもとに対話を重ねた。「5歳の子どもが読んで楽しめる話」「主人公は好奇心旺盛な女の子」「テーマは『勇気を出す』」。こうしたざっくりとした条件を伝えると、AIは10パターンのあらすじを提案してくれた。

その中から1つを選び、今度は場面ごとのセリフと描写を詰めていく。AIが出してくる文章をそのまま使うのではなく、自分の言葉で書き直す。このプロセスに3週間かけた。深夜の2時間だけが、彼女にとっての創作時間だった。

次はイラスト制作。画像生成ツールに「水彩風、優しいタッチ、絵本のイラスト」といった指示を入れ、何度も生成を繰り返した。最初は思い通りの絵が出てこず、何度も挫折しそうになった。だが、プロンプト(AIへの指示文)の書き方を少しずつ学び、参考画像をアップロードして雰囲気を伝える方法を覚えると、出力の精度が格段に上がった。

主人公の女の子の見た目を統一するために、最初に生成した1枚を「基準画像」として保存し、それを毎回参照させた。服の色、髪型、表情のパターンを固定することで、16ページを通じて同じキャラクターに見えるよう調整した。このプロセスだけで4週間かかった。

最後はレイアウト。無料のデザインツールを使い、テキストとイラストを配置した。フォント選び、余白の取り方、ページをめくったときの視線誘導。美大で学んだ知識が、ここで初めて活きた。全16ページのレイアウトを終えたのは、5月3日の深夜だった。

深夜2時17分、PDFが完成した瞬間

最後のページが完成し、PDFに書き出したとき、沢井はしばらく画面を見つめたまま動けなかった。ファイル名は「そらとつきのひみつ.pdf」。サイズは12MB。たったそれだけのデータだったが、彼女にとっては15年分の重さがあった。

翌朝、夫と子どもたちに見せた。「ママ、これ描いたの?」と次男が目を輝かせた。「うん、AIと一緒にね」と答えると、「すごいじゃん!」と長男が笑った。夫は何も言わず、最後のページまで読んでから「よくやったね」とだけ言った。

その日の午後、沢井は押入れからスケッチブックを引っ張り出した。15年ぶりに開いたページには、大学時代に描いた絵本のラフが残っていた。当時の自分は、すべてを一人で完璧に仕上げなければいけないと思い込んでいた。でも今は違う。AIという協力者がいれば、アイデアさえあれば、形にできる。

これからのこと

沢井は今、2冊目の構想を練っている。1冊目は自分のために作ったが、次は「誰かに読んでもらう」ことを前提に作りたいと考えている。自費出版サービスへの登録も進めており、6月中には紙の本として手元に届く予定だ。

「15年前の私に教えてあげたい。諦めなくてもいいよ、って」。沢井はそう言って笑った。「AIがあるから特別なんじゃなくて、AIがあるから、もう一回始められた。それだけ」。

彼女の次のステップは、HAIIA の認定資格を取得し、AI活用スキルをさらに深めることだ。自己実現の軸を大切にする HAIIA の3つの軸 に共感し、同じように夢を動かし始めた人たちと繋がりたいと考えている。もし興味があれば、仲間募集ページから情報を得られる。

深夜2時間の創作時間は、今も続いている。次の「できた」の瞬間を目指して、沢井は今夜もパソコンの前に座る。

よくある質問

絵が描けなくてもAIで絵本は作れますか?

描けます。沢井のケースでは、美大出身という背景がありましたが、画像生成AIは指示(プロンプト)次第で誰でも一定品質のイラストを生成できます。重要なのは「どんな絵本を作りたいか」というアイデアと、試行錯誤を繰り返す根気です。最初の1〜2週間はプロンプトの書き方に慣れる期間と考え、焦らず進めることをおすすめします。

どれくらいの時間と費用がかかりますか?

沢井は深夜2時間 × 約2ヶ月(合計120時間程度)で1冊目を完成させました。費用は対話型AIと画像生成ツールの月額利用料で、合わせて月5,000円前後。無料プランでも始められますが、生成回数や機能に制限があるため、本格的に取り組むなら有料プランが効率的です。自費出版の印刷費用は別途かかります。

AIを使った作品は「自分の作品」と言えますか?

これは多くの人が悩むポイントです。沢井は「AIは協力者であり、道具」と捉えています。ストーリーのテーマ、キャラクター設定、場面構成、最終的な選択と調整はすべて自分が行っており、AIはそのプロセスを支援するツールに過ぎません。重要なのは、あなたのアイデアと意図が作品に込められているかどうかです。

About Haiia Notes

HAIIA(健全AI教育協会)が運営するメディア。AI で諦めた夢にもう一度火をつけるためのニュース・実践記事・レポートを、毎日お届けしています。